ISOの普及拡大を願う会(IFKK)
亀岡孝三郎 

(私のホームページはここをクリックして下さい。)

アクセスカウンター

あなたは アクセスカウンター 番目の訪問者です
JAB ISO 9001 公開討論会に参加して
 
  2012年3月13日、JAB主催の「ISO 9001公開討論会」が“ISO 9001認証のブランド価値を高める”というテーマで開催され、私も参加させていただきました。
その際行われました「パネルディスカッション」での事前質問と回答がJABウエブサイト「新着情報」2012年5月16日付け記事”第18回 JAB/ISO 9001公開討論会 報告(概要)”に掲載されていますが、その中で私の質問とTC176国内委員長の飯塚先生他の回答は次の通りです。
<整理番号NO.7>
質問「昨年、JIS Q 17021が改訂され、審査員の力量がより明確に規定されました。認証機関が適切に運用すれば、審査の質が向上し、不充分なQMSで認証されていた組織が少なくなり、結果としてISO 9001認証の社会的評価が高まると期待しています。ところが一方で、審査員の評価(事業分野に関する深い知識、X+)において、認証機関がいい加減に対応すれば、従来と何ら変わらないと予測される方も多くいらして、非常に残念です。今回の改訂に対し、認証機関はどのように改善すべきであるとお考えでしょうか」
回答≪ISO 17021の改訂、それに伴うJISQ 17021の改正によって、審査員の力量評価の枠組みは明確になりましたが、力量の基準が厳しくなったわけではありません。これまでの、審査員の自己評価や経験に基づく漠とした評価から、審査員に求められる力量の要素が明示され、必要な力量の構成要素が明確に示され、改訂前に比べ、力量判断の基準が詳細に求められるようになりました。しかし、要求される力量レベル表にある「+」の意味は、相変わらず不明確で、どれほどの効果があるのか分かりません。各認証機関における「+」のとらえ方、判断については、各認証機関の見識に期待しますが、認定審査において厳格に確認する必要があると思います。力量評価の方法や、その結果としての審査員の力量に看過できないバラツキがあるようなら、認定審査において認証機関における基準の理解、判断根拠を詳細に確認するようにしてほしいと思います。≫
<整理番号NO.27>
質問「WG3では、業界全体での供給者管理コスト削減を提言されていますが、買い手側の制度活用によるコスト削減効果よりも、売り手側(認証企業)の手間とコストの方があまりにも大きいのが、現状ではありませんか。認証制度をスリム化して、審査費用を引き下げることによって、中小企業にもっとISOを普及拡大させることが、最大の制度改革ではありませんか」
回答≪認証組織の手間とコストがあまりにもかかり過ぎるということについては、必要な手間はかかるのかもしれませんが、ちゃんとやっていれば手間というのは増えるはずはありません。認証企業、認証機関とも、ISO 9001と認証制度を正しく理解されれば不必要な手間は増えないはずです。また、コスト削減を目的にしてしまうと、現状の制度そのものの質を上げなければいけない現状を考えると難しいのではないか、もっと別の制度なり何かを考える必要があるのではないかと思います≫
なお、整理番号NO.7に対する飯塚先生の回答は私の質問の意図をよく汲み取っていただき、御丁寧に対応していただき感謝しておりますが、NO.27の方はどなたが回答されたか判りませんが、コスト削減に関してはISO制度上では考えられないとのことであり、少し残念な気が致します。当日・会場で私はマイクをとってこのことについては、中小企業の認証促進を図るために「初回審査では審査項目を内部監査やマネジメントレビューなど主要項目のみに限定して審査し、サーベイランス審査や再認証審査を通して全項目を審査するなど、何か審査工数の削減を配慮できないものか」「認証の登録書は決して卒業証書ではなく、単なる入学許可書に過ぎないことを社会がもっと理解していただければ、このように段階的に審査していくこともあり得るのではないか」と質問しましたところ、飯塚先生から「審査工数の削減には、何か検討する余地があるかもしれない」と言及いただいたことが印象に残っています。                                               2012年6月1日 記
 (なお、ホームページの転載についてはJAB殿の了承をいただいております)